すこしパリに慣れた人たちは皆「メトロよりバスがいい」と言います。確かにメトロだとせっかくの風景が見えないし、夜遅くのっていると怖かったりすることもあるのですが、それでも私はやっぱりメトロが大好き!1週間ごとにカルトオランジュを買って、パリでは毎日のように地下鉄にのっていました。決してザジやアメリを気どっているわけではないのですが、メトロってやっぱりいかにもパリらしい乗り物だと思いません?
その「らしさ」の演出にひと役買っているのが、メトロ内をつねに徘徊している音楽師たちの存在であることはまちがいないでしょう。画像のヴァイオリニストさんは階段の踊り場で演奏していたのですが、たいていは走行中の地下鉄の車両間を乗ったり降りたりしながら演奏して小銭を集めています。フランス交通局はさすが!芸術家に寛容なのねと思っていたら、実はコレ「メトロアコード」という組織が半年ごとにオーディションをしていて、これに受からないとメトロで演奏はできないのだそうです。どおりでそんなにヤバめな人はいないワケ。これがもう本当に雑多な音楽師さんがいて、本格的なオーケストラから今風の兄弟ラップ、珍しいところでは人形劇(!)みたいのまですごくバラエティ豊かで毎日乗っていてもホント飽きませんでした。個人的には昔懐かしいアコーディオン弾きみたいなのがやはりパリっぽくて遭遇すると嬉しかったものですが…。


また、メトロは人間ウォッチングの場としても最適でした。驚いたのが、地下鉄の中で平気でパンをちぎりながら食べる人、2人きりの世界にDOPEするペイネもびっくりのカップル、大声で演説をはじめる人etc..が決して珍しい存在ではなかったこと。パリの人たちは「欲望に忠実」なのねと感心。自分が食べたい時に食べ、愛しあいたい時に愛しあう(眠っている人がいないのはスリが多いから?)そのひたすらに「自分に正直」な姿勢はある意味あっぱれといえるかも。基本的に車内アナウンスがないせいか、駅構内もなんとなく静かです。ご承知のように、パリのメトロは降りる時に改札を通さなくていいため、タダ乗りをチェックする検札にもしょっ中でくわしました(無賃乗車を責められ逆ギレするおじさんも…)。

また、メトロは情報蒐集の場としても機能しています。画像の「シルヴィ・ヴァルタンとその衣装展」もメトロ構内の広告で知りました。日本のものより大きくて、インパクトも大!ポスター好きはやはりメトロにのるべきかも?

滞在最後の週は、リヨン駅からSNCF(フランスの新幹線)に乗って南仏へ小旅行へ。画像は発着時刻や停車駅を調べるための、フィッシュ・オレールという駅に無料で置いてある小さな時刻表。さすがはパリ、時刻表もカラフルでとってもハイセンスです。
  



切符を買いにいく時に、重厚な内装が素敵な構内にある有名カフェ「ル・トラン・ブルー」にも立ち寄りました。かつて貴族たちの応接・待合室であったというだけあって、ベルエポック時代の優雅な鉄道旅行の残り香?が漂ってます。貴婦人や伯爵たちが旅立つ前のわくわくなひとときをここで過ごしたんでしょうねー。ギャルソンも気のせいかハンサムでスマートな人ばかり。

 

ということで、パリの乗り物はどれも雰囲気があって素敵だったのですが、実はこのリヨン駅でなんと痴漢にあってしまいました。列車を待つ間読書に没頭していたら、なんかお尻のあたりに違和感が…隣のステッキついて帽子をかぶったエレガントなムッシューが、寝たフリしながら私の座席の下に手を差込もうとしていたのです!!
おまけにその同じ場所で不審な荷物が発見されたとかで、警備員が総動員し立ち入り禁止ロープが張られるテロ厳戒体勢にも遭遇。これは結局ただの忘れ物だったようなのですが(よく見るとギターなども置いてあったし)、まったくあの現場での緊迫感は忘れ難い記憶となりました…。


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