古書市などで少女小説の表紙に藤田ミラノの絵が使われていると、ついつい手にとってしまう人は多いのでは?中原淳一のものなどに比べると値段もそこそこ安いので、私も『コバルト・ブックス(コバルト文庫の前身)』や『少女の友』の付録小説などをずっと集めてたりします。最近、『乙女のファンタジア』(平凡社・別冊太陽・1986)という本を見ていたら、少女小説の挿絵以外にもミラノ作ピエロなどの本格的な油彩画がたくさん載っており、どうもどこかで見覚えがあるような気がしていたのでした。
と思ったら、現在活躍中のパリ在住のイラストレーター、エマニュエル・マフィーユの作品に激似なのです!上の写真、言うまでもなく左がミラノ作、右がマフィーユのもの。(エマニュエル・マフィーユをご存知でない方のために念のため説明すると…
<エマニュエル・マフィーユ…モデル出身で日本でも資生堂などの広告イラストで活躍するイラストレーター。ヒッピーの両親に育てられ、家も学校も税金も関係ない放浪の幼年時代を送る。「パリイノセントビター」(河出書房新社)などの画集あり。このひとが編集&発行するガーリー雑誌「PEPE(ペペ)」(インディーズ誌ですが、現在10号まで発行)はむちゃくちゃ素敵で必見です)>
一見、「どこが似てるの?」と思われるかもしれませんが、構図といい、ほのかに漂うゴス風味といい、なにより目・鼻・口の描き方がまったく同じと思いません?絵を少しでも齧ったことがある人ならわかって頂けると思うのですが…
ふと思いついて画像をコピペして重ねてみたら、この2つの絵、目・鼻・口の形と位置がぴったり同じに符号。

この偶然の一致?を不思議に 思いつつ『乙女のファンタジア』をよくよく読んでみたら、ミラノはちょうど叙情画の終焉期と少女漫画が花開く過渡期にいた存在で、叙情画の時代が終わると同時に渡仏していたことが判明。みごと、パリ画壇にデビューしていたんですね。しかも、パリの少女雑誌「quinze ans(15才)」(写真参照)の表紙画を描くなどもしていたので、あくまで推測ですがティーンエイジャーだった頃のマフィーユがミラノの絵にインスパイアされていても何ら不思議ではなかったわけで…。 叙情画といってもミラノの絵には日本的なウエットさがまるでないし、媚びない強さと繊細な美しさをあわせもった少女像はパリの女の子に受けいられる要素充分だったのかもしれません。パリ的なるものに憧れ続けてついにはパリへ移り住んでしまったミラノの絵が、いつのまにかパリのアート少女に多大なインパクトを与えていたなんて…なんだか不思議ですね。それにしてもアーティストとして成功をおさめた今、マフィーユは税金はちゃんと払っているんでしょうか…?

 

 


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